「海守さぬき会は!」
香川県は、本州、四国及び九州に挟まれた瀬戸内海に面し、小豆島をはじめ約110余りの島々が点在します。そこには、穏やかで風光明媚な光景が広がっています。しかし、そんな美しい景色とは裏腹に、大きな問題がそこには潜んでいました。
香川県の海岸は閉鎖性海域である瀬戸内海の東部海域に位置し、沿岸の各地域から海域へ流入する多種多様なゴミは、海面を漂流するごみや海底に沈み堆積するゴミ、海岸に漂着・散乱するゴミとなり、景観や環境の悪化、海岸機能や海洋資源の低下、マイクロプラスチック問題等、海洋環境に悪影響を与えている海ゴミ問題に、「海守さぬき会」はボランティア活動の一つとして着目いたしました。
海ゴミは漂着ゴミ、漂流ゴミ、海底堆積ゴミの大きく3つに分かれ、瀬戸内海に沈んでる海底堆積ゴミは、河川を経由して海に流れ沈んだゴミや心ない人が直接投棄したゴミが大半をしめています。つまり、周辺地域から出た生活ゴミでした。瀬戸内海に沈んでいるゴミの総量は、回収可能な分だけでも1万3千トンと推計されています。
こうした現実を知った「海守さぬき会」は、瀬戸内海の海底堆積ゴミの調査事業と、海ゴミ発生抑制のための普及啓発事業として、「海底ごみ目に見える化計画」シリーズを、平成21年8月から高松市沖で高松市内の四漁協の協力を得て、民間レベルで初めて事業を開始しました。
平成21年度の「海底ごみ目に見える化計画」の実績を基盤に、香川県から「香川県海岸漂着物等の発生抑制に係る普及啓発業務」の委託事業を受け、平成22年度は中讃(県西部地域)の丸亀市沖、平成23年度は東讃(県東部地域)のさぬき市、東かがわ市沖に於いて、「海底ごみ目に見える化計画」シリーズを実施し、3年間の総括として調査海域の海底堆積ゴミの調査報告書と海ゴミ発生抑制のための提言書を香川県に提出させて頂きました。
平成22年度は、子供達の目線による環境学習冊子を30,000部制作し、県内中学校へ配布、平成23年度は30分間のTV番組を制作放送し、県民に広く普及啓発させて頂きました。
平成21年度から3年計画で関係者様のご協力とご支援により、「海底ゴミ目に見える化計画」・「故郷(ふるさと)の海レスキュー隊計画」各シリーズの事業を中心に取組んで参りました結果、平成25年4月より香川県方式の海底ゴミ回収・適正処理システムを確立、県内全市町からの回収海底ゴミ処分費用を拠出頂き、県下沿岸部の漁業協同組合所属の底引網漁師の社会貢献活動(ボランティア)による海底ゴミの回収・持ち帰り・適正処分が実施され始めました。
平成25年度の活動事業は、香川県から受託しました「海岸漂着物等抑制に係る子供達への環境学習事業」を、平成26年度の活動事業は、弊会自主事業として「国立公園指定80周年記念事業・故郷の海レスキュー隊計画2014」、平成27年度は「故郷の海レスキュー隊計画2015」を中心に取組んで参りました。
近年、沿岸漁場再生策の必要性から「森・川・海を総合的に管理した健全な自然環境の創造による沿岸漁場の根本的な再生」が注目されており、魚つき林(うおつきりん)と云う古人の知恵が見直されています。白砂青松で名高い瀬戸内の景観が失われている、近隣の人工海岸線・埋立地等、里海における「豊かな海創りボランティア活動」として、毎年1回の植樹、育樹活動の「魚つき林創出プロジェクト」を当会活動の一つとして取組んでおり、平成27年度は6回目となりました。